海援隊の歌に「スタートライン」という歌がある。割と最近知った歌だけど、これがまた素晴らしい歌。今時の、なんの捻りも芸もない陳腐な励まし歌とは違って、非常にディープで本質的なことをうたっているように感じる。人生とは即ち孤独そのものであり、必ず独りぼっちの苦しさと相対さなければいけない。無論それが生きる意味だということを説いているように思う。
孤独に向かう勇気
今わたしたちに大切なものは恋や夢を語り合うことじゃなく独りぼっちになるためのスタートライン
スタートライン/海援隊
自分の野望を語り合って、気持ちを共有し合って寂しさを紛らわすのは、一時は楽しくても結局精神的な成長はない。人はいつだって孤独であり、人生の答えとも言うべきその孤独に、逃げずに自ら向かうことこそが必要なことだと言っているのである。武田鉄矢さんはよっぽどの哲学者なんだろうなと改めて思ってしまう。やはり武田鉄矢さんは見かけによらず達観した男なんです。
物事の、人生の本質を知ってしまった。哀しいかな知ってしまったからにはそれなりに生きねばならない人間の覚悟が見えてくるようでもあります。
孤独を知るからこそ、出逢いの有り難さを知れる
素直なやつほど傷ついてしまう みんな上手にふざけて生きるのに たった一人の別れのためにまっすぐ涙を流す人がいる
これもいい詞。ひとりひとりとの出逢いを大切にして、また別れを大切にする。出会いと別れに本気で向き合う、人の可能性を、尊さを感じることができる。他人の言葉のすべてを、行為のすべてをまっすぐに受け止めてしまう人は何かと傷ついてしまうもの。真剣に人と向き合おうとしているからこそ、相手が誠実でないと気づいたとき、偽りを持っていることに気づいたときに残念に思ってしまう。そしてやがて少しずつ自分の心も閉ざしてしまう。というより、元々人は素直なのだけれど段々と疑い深くなっていわゆる「嫌な奴」になってゆくものなのかもしれない。相手が誠実じゃないから自分も不誠実になっていく。ビリー・ジョエルの【HONESTY】を想い出すようだ。「Honesty 」『誠実とはなんて虚しい言葉なんだろう、誰もが不誠実だから』という歌詞はとても聴いてて哀しくなるけど、『でもその誠実こそ、貴女に求めたいものなんだ』と希望は捨てていない。ただこれだと「君が誠実になってくれたら僕もそうするよ」と言っているようにも個人的には感じてしまう。
誠実、思いやり、博愛。求めたいものがあるならそれを自分から先に相手に提供できなければ、救われることはないのではないだろうか。
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